第8章 Dive into the blue
松本side
「智くん?」
濡れた瞳のまま俺の方を見る。
すぐにうつ向いて表情を隠す。
O:「ごめん、なんでもないから…」
「何でもないのに…泣くの?」
O:「泣いて…ないよ、
目にゴミが入っただけ」
強がる智くんがなんか可愛くて
思わず抱きしめる。
背中をポンポンって軽く叩くと…
智くんは俺の肩口に顔を埋め、
静かに泣いていた。
そのまましばらく背中をポンポンして
落ち着くのを待つ。
ようやく落ち着いたのか智くんが俺を見る。
O:「急に泣いたりしてごめん。
なんかさ、夕日が綺麗でさ。
色々思い出しちゃって…。
でももう大丈夫だから。」
そう言って照れくさそうに
俺の額に自分の額をこつんとぶつける。
「智くん、もどろっか?」
俺はそれ以上なにも言わずに車を出した。
泣きつかれたのか
車の振動が気持ちいいのか、
またウトウトし始めた智くん。
ホテルの地下駐車場に車を止めても
まだ起きる気配がなかったので
そのまま抱っこして部屋に向かった。