第8章 Dive into the blue
松本side
夕方近くまで散々遊んだ俺たち。
待ち合わせ場所に着いて
お互い、めっちゃ満足した顔してた。
帰りの車で智くんが疲れたのか
ウトウトしてた。
「智くん?疲れた?
寝てて大丈夫だからね?」
O:「んーありがとぉー。
じゅんくんはぁつかれてないの?」
ふにゃッとした笑顔。
かわいい顔で少し舌っ足らずな口調で
聞いてくる。
「大丈夫。車、運転するの好きだし」
そう言いながらワイキキとは
反対方向に車を向ける。
ノースショアを越え、
オアフ西側沿岸を走る頃、
丁度サンセットの時間になった。
「智くん、起きれる?
ちょっと外に出ない?」
智くんは眼をこすりながら俺を見る。
「そろそろサンセットの時間だからさ。
外で、見よ?」
O:「うん。いくぅ」
そういって車を降りる。
ビーチに2人、
並んで座り沈みゆく太陽を見つめる。
真っ赤な太陽がきらめく海に呑み込まれ
辺りが真っ赤に染まる。
空は赤から紫に変わり…
そして濃紺へと表情を変えた。
2人してなにも言わずに
海を、空を見つめてた。
どちらからともなく…
行こうかと声をかけ車に戻る。
イグニッションを回し車を出す。
車の中に流れるローカルのラジオ。
その音だけが車の中に響く。
ふと横を見ると…
智くんの頬に光るものが見えた。
ハザードを出し車を止めた。