第20章 Sweeter than SWEETS
本当に1本だけ。
手にしたビールを飲み干すまでの時間。
別に何を話すわけじゃない…けどみんなが沈黙してる訳でもない穏やかな時間。
ずーっと続けばいいと思うのはやっぱり感じるプレッシャーのせい。
みんながいるって分かってるけど実際に自分だけが立ってる時間の長さがどうしようもなく心細く感じるのはきっと舞台の大きさゆえ。
だって、レギュラーの1人仕事でこんなこと感じたことないもん。
まぁ、そのソロ仕事の時に誰かがゲストに来てくれるとテンションの上がり方が違うのは仕方ない。
でもそれとも違う感覚。
漏れそうになるため息を飲み込んで、手の中の缶の軽さに過ぎた時間を感じる。
「それ、ちょーだい?」
空になった缶にニノが手を伸ばす。
「…ありがと。
そろそろ寝ないとね?
みんなも明日忙しいわけだし…」
「そうだな。
そろそろ智くん、限界みたいだし」
翔ちゃんの声に横を見ると眠そうな顔の大ちゃん。
名残惜しさに立ち上がるのさえ嫌だなぁと思ったけど…時間切れを自覚せざるを得なかった。
なのに…。