第20章 Sweeter than SWEETS
ライブが終わっても休みなんてなくて、そのまま紅白のリハに突入した。
リハーサルの合間には記者会見だのなんだので一日中、NHKホールの中を行き来して…。
みんなもそれぞれコーナーを持ったりで普通の演者さん達よりも出番が多いからその分、リハの時間も長くて…。
楽屋でまったりなんて無理だけどリハで会う度に小さなスキンシップや耳打ちで元気をくれた。
局側からホテルの準備を打診されたけど、NHKホールから家まで大した距離じゃないから…丁重にお断りした。
僅かな時間を節約するよりも…みんなの傍にいたい気持ちの方が勝ったから。
当たり前だよね、忙しいからって1人ホテルにいるよりみんなといた方がいいに決まってる。
「ただいま」
いつもよりもだいぶトーンを落としてそれでもいつもの癖でほのかに明かりの灯るリビングに一応声をかけた。
いつの間に当たり前になったこの家のルール。
最後の1人が帰ってくるまではリビングに最低限の明かりは付けておくこと。
『真っ暗な家に帰ってくるのは寂しいじゃん』
そう、おーちゃんが言ったから…。
「おかえり、お疲れ様」
誰もいないと思ってた空間から声が聞こえた。
ほら、だからやっぱりここに帰ってきたくなるんだ…。