第20章 Sweeter than SWEETS
翌朝、いつもよりだいぶ遅く起きてきた僕に新聞を読んでた翔くんが声をかけてきた。
「あのさ、これ、使って」
突然、メモ用紙を渡された。
「え?なに?」
メモを開くと翔くんの少し癖のある字で住所が書かれてた。
「友達がさ、彼女とデートするために別の知り合いのツテでそのタワーマンションの部屋を借りることになってたんだけどさ、急な出張で行けなくなったんだって」
イマイチよく分からないけどとりあえずうんうんと頷きながら続きを聞くことにする。
「でね、その彼女さんが芸能人らしく、あっちこっちにバレないように手配した場所なんだって。
せっかく手配したのに使わないのはもったいないからってその彼女さんと同業の俺に連絡が来たわけ。
まぁ、そういうことなら有難くと思ってさ、譲ってもらったわけよ、その部屋。
で、それがその住所ね?」
そう言って僕の手に握られたメモを指す。
「うん、経緯はわかったけど…なんで僕?
翔くんと一緒に行くなら翔くんがそのままこのメモを持ってるよね?」
だって僕は車の免許ないし、一緒に過ごすなら間違いなく翔くんの車でしょ?