第3章 5月
戻ろうとする俺を引き止め、研磨は何故かコンクリートの地面に座り込んだ。
暫し続く無言。
何も話さないのが気持ち悪くて、俺はポツリと呟く。
「…星、キレイだよな」
「………何それ」
「いや東京よりはキレイだろ…うわあって顔すんのヤメロ」
深い意味など無く思ったままを口にしただけだったが、研磨のお気には召さなかったようだ。
そしてまた居心地の悪い静寂が訪れる。
(一体何したいんだよコイツ…)
研磨を置いて宿舎に戻ろうかとも思った時。
「クロってさ、鈴の事好きなの?」
それは予想外の質問だった。