第6章 7月下旬
校舎から伸びるコンクリの長い階段を降りきった駐車場で待つと、ブロロロロとおんぼろエンジンを響かせて烏野バレー部を乗せたバスがやってきた。
バレー部のメンバーに続いて降りてきた仁花ちゃん、清水さんと2週間ぶりの再会を喜ぶ。
「ジャージ、なくても大丈夫になったんだね」
半袖Tシャツの私を見ると仁花ちゃんは微笑んでそう言った。
前の合宿でお風呂に入った時、傷を気にする私に仁花ちゃんは、子供の頃木から落ちてできたというお尻の傷痕を見せて励ましてくれた。
「…仁花ちゃんの…おかげ、だよ」
仁花ちゃんは照れ笑いして頬を掻く。それと一緒に星のヘアゴムで結んだサイドテールがなんだか嬉しそうに揺れる。
先頭を歩く日向くんが鉄塔を指差し、スカイツリーだ東京タワーだと騒ぎ立てて、隣を歩く研磨は早くもタジタジ。
後ろを歩いていた鉄朗と烏野の上級生たちがそんな様子を指差して笑う。
(2週間、あっという間だったな)
色んな人に迷惑掛けてしまった前回の合宿を思い出しながら、今回こそはと心の中で気合を入れる。
バスから少し歩いた所で、長い階段をリエーフが二段飛ばしで駆け下りて来た。
「日向ー!身長伸びたかー?」
「第一声から失礼だな」
「リエーフうるさい」
それからリエーフと日向くんのハイテンションの掛け合いが始まって。研磨はというと、しかめっ面してひたすら聞き役に徹していた。
黒尾と上級生組はすでに違う話で盛り上がってるみたいで、大笑いする鉄朗が烏野の主将に激しくツッコまれていた。