第6章 7月下旬
7月21日
ピローン。
横から覗き込んでいた研磨のケータイがメールの受信を知らせてアラームを鳴らす。
画面上部に出てきたポップアップには《もうすぐ森然に着くよ!!》と短いメッセージ。差出人はたぶん烏野の日向くん。
「ねえ……翔陽たち、もうすぐ着くってさ」
少し離れた場所でゼリー飲料を口に咥えながら体を伸ばしていた鉄朗に向かって、研磨は言った。
「もう、そんな時間か」
鉄朗は体育館の時計を見上げると、10秒チャージと書かれたその銀色のパッケージをぐしゃりと握りつぶして口に含む。尖った喉仏がゴクリと動いてゼリーを飲み干すと「んじゃ、出迎えに行きますか」と面倒くさそうに呟いて立ち上がった。
スニーカーに履き替えて一歩外に出ると、体育館の裏手の森から響く地鳴りの様な蝉の声に包まれた。天気は快晴、合宿日和。