• テキストサイズ

【ハイキュー!!】陽だまりの猫

第5章 7月




「その後、俺ん家で鈴から全部聞いた。両親が離婚した事も、オバサンが家を出てった事も、出てく直前に鈴はオジサンとの子じゃないってバラされた事も。……手足の痣は酔ったオジサンに殴られたって事も。長くなったが、鈴がいつもジャージなのはその痣を隠してるからだ」


まるで言葉を失った様に固まって誰も何も言わない。そりゃあそうだ。イジメも虐待もそこら辺の平和ボケした高校生にとっちゃ、TVのニュースの中、遠い世界の出来事だしな。



「…昔はオジサン、優しかったんだよ。俺も釣りとか教えてもらったし。でもオバサン大分貯金使い込んでたみたいで、オバサンが出てった後マンションのローンだけ残って生活も苦しかったらしい。


酒ばっか飲んで、酔っ払って鈴を……



同じ中学だったのに…俺、なんも気づいてやれなかった…」



不覚にも俺は泣きそうになっていた。
しかしその涙はすぐに引っ込むことになる。


「鈴゛がぁ…がわいぞうっス」

「なんでっ、ぞんなぁ鈴ばっかぞんな目に合わないどいげないんっスがあぁぁ!」

「うっ、く……鈴ざああん」




忘れてた。コイツら総じて涙脆いんだった。



「……ねえクロ、すごい目立ってるよ」


無愛想な声に振り向くと、そこには異変を感じ取った研磨と鈴が様子を伺いに来ていた。鈴は泣き崩れる3人を見てオロオロしてたが、研磨の方は完全に引いてた。オイオイそんな顔してやんなって。


「じゃ、店に迷惑掛ける前に帰るぞ。ホラ撤収撤収」


そう言ってドリンクバー5人分の伝票を手に取って立ち上がる。
ここは一応先輩として俺が払っとくか。…夜久は後から金取るけど。




/ 162ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp