• テキストサイズ

【ハイキュー!!】陽だまりの猫

第5章 7月





俺は震える手で扉を塞いでいたガムテープを取り去る。女子1人閉じ込める為に10箇所以上も留めるなんて。ふざけんな。畜生、畜生っ、畜生っ!



全部剥がして扉が開く。やっと開いた、なんて喜ぶ事もできない。



伸びっぱなしの黒髪からポタポタと雫が落ちて。
血の気の感じられない冷え切った白い顔と紫に変色した唇。その隙間から覗く歯は寒さに震えてガチガチと音を鳴らす。

そして俺をジッと見つめる虚ろな瞳は、吸い込まれそうな程に空っぽだった。






喉元まで出掛かった謝罪の言葉を、唇を噛んで無理矢理押し留める。

俺が泣いて謝ったって、鈴が助かる訳じゃねえ。だから今は謝らねえ。



「…着替え、あるか?」


鈴はたどたどしい言葉で、教室のカバンに体操服があると俺に告げた。

どうしたらいいかなんてわっかんねえけど、寒そうに震える鈴を見てられなくて、教えられた教室に走った。


/ 162ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp