第4章 心の扉を開くのは
「イーブィ…」
なんでここに…?
「じゃあ先輩、お先でーっす」
彼に腕を引っ張られて走らされて…近くの店に着く頃には、あたしは既に息が乱れていた。
「さ、ここなら大丈夫。明るいからね」
「イーブィ、なんで…」
彼の笑顔はとても眩しかった。
店の電気のせいか、それとも涙のせいか…。
「はは、目うるうる。泣いていいよ?」
「っ…イーブィ……っく…」
あたしがわんわん泣いている間、彼はずっと慰めてくれていた。
怖かったね、もう大丈夫だよ、……そんな言葉を掛けながら。
背中をさすったり、頭を撫でたり。
抱きしめてもくれた。
すごく安心した。
イーブィ、いつも変態なのに。
どうして今はこんなに優しいんだろうか。
「大丈夫だよ…ユラ」
あたしは、イーブィの胸でひたすら泣いた。
イーブィの優しさに溺れ続けた。
——この時、あたしの中で何かが萌芽した。