第4章 心の扉を開くのは
「君、ユラちゃんでしょ?
高等部でも有名だよ〜。可愛い、ってさ」
ニヤニヤと笑う顔が不気味で、ちっとも美しくなんかない人。
それでも天使か、と言いたくなる。
これなら、イーブィの方がよっぽど天使だ。
…なんて呑気に考えていられるのもここまでだった。
脇腹に添えられた手に、恐怖でゾクッと震える。腰をそろりと撫でる手つきが気持ち悪く、背筋がゾワリと逆立った。
その手はそのままスカートを伝い、剥き出しの太腿に触れる。
ゾッとした。気持ち悪い。気持ち悪い…。
「相手、してくれるかな?へへっ、気持ちよくさせてあげるよ…」
「や……ぁ…」
怖い。
薄暗い空。壁に追い詰められ、あたしは遂にスカートをめくられた。腿の付け根をそーっと指が伝い、もう訳が分からなかった。
「ひゃ…やめっ…」
「あは、可愛いねぇ、本当に!」
気色悪い声をあげて笑い、ジリジリと攻め寄ってくる。あたしは思わず涙を零した。
そして、付け根から下着の間に侵入しようとする指。
触らないで……。
気持ち悪い……。
「やだっ……
……イーブィ!!!」
その時。
——ドスッ
「ギャアッ!!」
何とも情けない声をあげて、その人はその場に蹲ってしまった。
それを冷酷な表情で見下ろしていたのは……イーブィだった。