第4章 心の扉を開くのは
それから待つ事10分。
「遅い…」
よく行くカフェで、1人寂しくティータイム。飲んでいるのはカフェラテだけど。
いつもは、キリトとイーブィと来ている。イーブィと2人の時もあった。多分、昔はキリトもアリアと来てたんじゃないかな。
…アリア。
何故、弾かれてしまったの?
ブレイブルームでの糾弾。あの日から、5年が経った。
彼女が無事転生したとすれば、新しいアリアは下界で5歳の筈だ。
…元気に暮らしているだろうか。
アリア…。
「ユーラっ!」
弾んだ声がしたと思えば、相席にブラックコーヒーが置かれた。
「…遅いわよ」
「いやぁ、ゴメンゴメン!選ぶのに時間食っちゃってさー」
頭を掻きながら座ったイーブィはふと微笑み、「待っててくれたんだね」と言った。
…コイツは分かっている。
私は素直じゃないから、イーブィが来てくれた事を素直に喜ぶ事が出来なくて、そこをいじられるのが嫌だって事。
そして、そこを突くと私が照れてしまう事。
…ちょっと、ちょっとときめいただけだからね。
「…キリトを迎えに行かなきゃいけないんだし。当たり前でしょ」
「…でもさ、」
イーブィと目が合う。
なんで?「あちゃー、そでした☆」とか言わないの?
イーブィは首を傾げ、口許を意地悪そうにつり上げた。