第4章 心の扉を開くのは
「ねぇ、ユラ。そのスカート…その、短くない?」
中等部の頃、初めて制服改造をしたあたしにイーブィが焦った様にそう言ってきた事がある。
「そう?」
周りの女子は皆このくらい短いし、可笑しくは無いだろう。
そう思っていた。
「そうだよ!
ユラは動き回るんだし、前の長さの方が良くない?中見えたらどうすんのさ!」
なんでイーブィが口出すのよ。
早速跳び蹴りしてやりたかったが、それでは益々言われてしまうので我慢した。
「もう中等部よ?あたしだって慎みを持って行動できるわ」
「いや、でも流石にその長さは…」
女子の靴下はニーハイで、しかも股下約15センチからの長いものだ。
スカートは、それの最初が見えるくらいの長さ。
確かに、友達に勧められた時は短過ぎると思ったけど…。
「なんであんたに心配されなくちゃいけないのよ」
それでも、イーブィが正論だと認めるのはカンに触る。
「だって、ユラはスタイルいいんだよ?
その太腿なんていい感じにむちっとしてて…靴下履いてなかったら襲われちゃうよ?」
「襲われる、って…。
何言ってんのよ、バーカ」
イーブィの変態、と付け加え、あたしは女子の輪に戻っていった。
今思えば…というか、あの頃も本当は分かっていたけれど、イーブィはちゃんと忠告してくれていたんだ。
あたしはそれを馬鹿にして、信じなかった。
だから、あれが起こったのも仕方ない。
その日、あたしは男に襲われた。
高等部の先輩だった。