第3章 真っ赤な眼
「——あ、来た来た!おっかえり〜」
「お帰りなさい」
「ユラ…」
関弓(かんきゅう)——天界と下界とを繋ぐ門——で迎えてくれたのは、ユラとイーブィだった。
「え、僕は無視?」
「わざわざありがとな」
「当然よ。お疲れ様」
「理不尽!」
ここまで来ると流石に可哀想だな、と思い、仕方なくイーブィにも「はいはい、ただいま」と声を掛けた。
「ま、話は後で聞かせてよ」
「なーんか、関弓混んでるしね〜」
確かに人が多い。関弓のあるこの街は霜関(そうかん)と云い、店も多い為に人が多い。
だが、今日はいつもより多い気がする。
「まぁ、たまたまよね」
「…だね。
さ、大學戻ろ〜!」
歩き始めたイーブィに続いて、俺とユラも足を速めた。
桜が散ってゆく。天界の春も、終わりに近づいていた。