第2章 別人との再会
大學は全寮制。各部屋の扉のすぐ隣にはポストがあり、其処に手紙が配達される。
このポストには、普通の手紙だけでなく、天使の仕事である『偵守(ていしゅ)』を依頼する依頼書も届く。依頼書の場合、封筒に羽の模様が刻まれているので、此処で普通の手紙と区別する。まぁなんとも豪華だ。
この偵守をこなす質や量で、認定証が貰えるかが決まる。認定証とは、一人前の天使の証である。持っていれば、切符を使って自由に人間界を行き来する事が可能となるのだ。大學へ通う者の殆どが、この認定証を貰うために勉強をしている。
ユラ…いや、イーブィの言う通り、ポストには依頼書が挟まっていた。
封を切り、部屋に入って早速読んでみる。
「…〈赤星霊夢(あかほしれいむ)。二十歳。明星大学生。突如目が赤くなり、不思議な幻想が視えるとの悩みを抱える。直ちに下界へ降り、これを解決せよ。〉…」
目が赤くなる?
幻想が視える?
ヒトとしては確かに異常だ。
俺は2枚目へ目を向けた。それには対象者の写真がプリントされている。
…これは、驚かない訳にはいかない。
何かの見間違いではないな?俺の眼は可笑しくないな?
なら、これは現実か。
金に近い髪。子犬の様に人懐こい笑顔。そして…真っ赤な瞳。
そっくりだ…。
「アリア…」