第4章 夜景
「にしたって、はしゃいだね、今日も」
「…いいじゃん、たまにしか来ないんだし」
そうね。ま、年に一回かせいぜい二回。…バーゲン時期を狙って(笑)。
「そういう自分だって、うち来たときは大はしゃぎだったくせに」
「そりゃおまえ…一面の草原とか、テンション上がるだろ」
「ほら。同じじゃん」
「いや、違う。全然違う」
璃子んちはホントに超ド田舎にあって。自然!って感じの。俺が最後に遊びに行ったのは中学くらいだったかな。はしゃぐっつーより、“感動”。空一面の星空とか、もうなんか、『ハァ~…』って。言葉なんて出ないんだよ。いいよね、自然。いいよね、日本、って。行くたびしみじみそう思う。あ~…、また行きてぇな。暇ねえけど。
「小生意気な…。昔はビ~ビ~泣いて可愛かったのに」
「は?…誰が?」
「『璃子ちゃん、璃子ちゃん』ってくっついてきてさぁ。ちっちゃくて女のコみたいで可愛かったのに~っ!」
誰が女だよ。ま、昔は確かに、小さかったし、泣き虫さんだったけどさ。でも俺、おまえの前で泣いたの1回だけだぜ?
ちょっと、ドキっとした。別にそんな気ないんだろうけど。
だって、そん時なんだよね。その、ビービー泣いてたとき。
…俺たちが、初めて、キスしたの。