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【M】Last Kiss(気象系)

第4章 夜景




「キ―レ――…」
「だろ」


夕食を済ませ、俺はとある夜景スポットに璃子を連れて来た。自分の車で。


「タクシーでもよかったんだけどさ。帰りすぐ拾えないだろうし、かといって待っててもらうのもね。落ち着かねえし」
「確かに。ここあんまり人気ないもんね。ていうか…見事に誰もいないね」
「だからマル秘スポット。ま、今日フツーに平日だしね」

ホントに観光スポットとかじゃないから、車は普通に路肩に寄せただけ。車通りも少ないし、駐禁とられる心配もないくらいの場所だ。

「ふふ。でも…ホント、綺麗」
「ま、おまえの地元には負けるけど。都会の夜景もなかなかだろ」
「うん。ネオンとかって無機質なのに、なんでこんな風に幻想的に見えるんだろうね…不思議」
「ホントだよな」


道路から少し歩くと、小高い丘の上から見えるのは一面の夜景。ここ見つけたのは偶然だけど、璃子には見せたいって思ってた。ちょっと街中から離れてたし、どうしても連れてきたかったから…俺、今日はアルコール抜きです。

「でもゴメンね?私ばっかりワインごくごく飲んじゃって」
「…別に。俺はいつでも飲めるし」
「ふふ。でもあのワイン、ホンット美味しかったぁ~♪」
「っ」

…そうなんだよ。いつでも飲めないんだよ、今日のワインは。よりによって店長、たまたま入手したっていうビンテージモノ持ってきてくれちゃって。今日のチーズに合うからって。チーズはめちゃウマだったし、ワインと一緒だったらもっと絶対ウマかった。わかってたけど…俺だってめちゃくちゃ飲みたかったけど…っ!!

「あ~…ホント美味しかったなぁ、あのワイン…」
「てめ~…」
「ふふふっ♪」

結局、璃子一人で一本あけやがった。強いんだよ、酒。さすがにほろ酔いみたいだけど。

でもさ。別に飲み干す必要なかったと思うんだよね。俺、持って帰って後で飲むっつったのに、『鮮度落ちる~♪』とか言って、一人でガブガブ…。あ、思い出したらムカついてきた(笑)。

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