第3章 比べません
「ん~…」
勢いよく伸びをして、璃子はかなりスッキリ、満足気な顔。
「映画どうだった?楽しみにしてたんでしょ」
「…自分は?」
「ん?んん~…『イイ夢みさせてもらった…』って感じ?(笑)」
そりゃあね?ホントに寝てたからね?
「潤は~?」
「俺はまあ、いい具合に…」
…中途半端だよ。もっかい来るには内容知りすぎてるし、DVD借りるのももう、何だかなって感じだし…
「…微妙」
「なにそれ(笑)」
だから。ホント、誰のせい?俺の貴重な二時間返してくれよ。
…言わないけど。
またブラブラ買物付き合って、さすがに俺がギブ。小洒落たカフェでの小休止を申し出ました。女ってすごいよね。買い物への情熱っていうの?俺も嫌いな方じゃないんだけど、さすがに…無理。
「体力ないね~」
「おまえに言われたくない。つか、比べられても困るんだけど」
「どーゆー意味?」
「そのまんま」
璃子、こう見えて職業:看護師。無医村に近いド田舎の村で、小さな診療所に勤めてる。他に大きな医療機関もなくて、往診もあり訪問看護もありの実質24時間体制。それだけでもハードなのに、隣家の畑仕事も手伝ってるというバリバリの体育会系だ。
「潤、細いもんね」
「…誰と比べて?」
「誰とって…一般的に?」
太るのはタブーだけど、そこそこんとこキープしてるよ、俺は。職業柄。ついでに言えば、そこそこ体力もある方だよ?一般的に。