第2章 彼女の真実
「もうさ、おまえ大人しく寝てろ?」
俺は小声でそう言うと、璃子の肩を抱き寄せ、俺の胸に沈めてやった。半ボケの璃子は、抵抗することなくそのまま眠りの世界に誘われてった。
ったく。なんでこんな状況に…。
まあ、疲れたんだろうけどね?今朝着いたばっかなのに、空港からすでにテンション高くて、朝昼兼ねたブランチ中華も、店貸し切って正解ってくらい『おいしーっ!!』って大絶叫&大興奮。食後、ちょっと歩くだけのつもりが、うっかり璃子の好きそうなこまごました店が並んでる通りに入っちゃって、ウィンドウショッピングを満喫して…。
すやすやと気持ちいい寝息が聞こえる。映画はかなりの音量なのに、璃子の穏やかな心音まで聞こえてくる。
「…」
やっぱり、落ち着かない。久々のオフ。俺はこれ(映画)が今日のメインイベントだったのに…。
いっつもそうだ。
こいつといると、俺、ペース乱されっぱなし。
最初からそうだった。でも。
(…髪、柔いな…)
もう映画そっちのけで璃子が気になって仕方ないのは、きっと過去のトラウマのせい。
璃子はガチで親戚。
だけど
何を隠そう、俺のファーストキスの相手だったりする…。