第2章 彼女の真実
「なんとか間に合った…」
「ギリギリだったね~」
…誰のせい?
俺の心露知らず、『飲む?』なんて無邪気に飲みかけのアイスコーヒーを差し出す璃子。
一口飲み、またため息が漏れた。ハッキリ言って、璃子には俺がアイドルやってる意識はあんまりない。だから困るっつーか。…いいっつーか。
彼女、璃子は俺の二個年上で、外見はまあ…まあ、可愛い方。美人というより…可愛い方。実際かなり小柄で、動きも活発で…小動物系っつの?そんな感じ。まさに。そしてちょっと目を離すと迷子になる、生粋の田舎育ち。
そんでもって
俺の遠い親戚だったりする。
「どんな映画だっけ」
「前に別なヤツ観たとき、すげーよかった監督の作品でさ。前から気になってたんだよ、俺。再上映されるって聞いて、めっちゃ興奮してさ…」
「ふぅん」
おおまかなあらすじを説明してやったけど…おまえ、実はまったく興味ないだろ。聞いといてあくびって。おい。
映画始まってまだ30分も経ってないかな。
案の定
「…」
「スゥ…スゥ…」
俺の左腕は璃子の枕と化していた。
…だから。重いんだっつーの。
集中して観たいのに、崩れてきそうで落ち着かない。くそ…これから話が展開しそうな面白いとこなのに…。
睡魔と闘ってるのか、俺にかかる重心もまちまち。それが余計に気になる。
あー、もう面倒くせぇ!こうなりゃ、いっそのこと…