第9章 告白
「…聞こえなかった?」
「…え?」
「もっかい言う?」
長いキスの後、俺は改めて、自分の気持ちを璃子に告げた。
マジ告白を受けてアホ面してた璃子は、ぶんぶんと勢いよく首を振った。たぶん顔、真っ赤にして。暗くてハッキリ見えないけど。
「で、でも、潤とは、親戚だし…」
「恋愛しちゃダメっていう親戚じゃないでしょ」
そう。ホントに遠縁だから。3親等からだっけ?結婚していいのって。従兄妹とか。あれ、4親等??ま、俺らそんなもんじゃないくらいかけ離れてっから。全然問題ないでしょう。
「…考えたこともなかった…」
「考えろよ、少しは!」
「だって!」
「確かに親戚だけど!…考えてよ。今、これから」
「…」
「俺、真剣だから」
「…」
「…車、戻るか。冷えてきた」
…嘘。ホントは、体が熱くて仕方なかった。
初めてのオトナなキス。男女の、キス。
璃子が大絶賛のワインの味がして、俺も少し酔ったのかもしれない。これ以上こんな人気のない場所に二人でいたら、俺…ホントに自分を抑える自信がなかったから。
「行くぞ」
小さく頷いた璃子。その手をしっかり握って、俺は車まで手を引いた。