第5章 ファーストキッス
俺は璃子を見つけた安堵でさらにワンワン泣いちゃって、そしたら璃子、ヨシヨシって俺の頭撫ぜて…
『潤、カワイイねぇ♪』
チュ☆
…みたいな。
いや、一切深い意味はないんだよ。なんせ一桁だから。まあ、ませてはいたんだろうけど。ほっぺとかじゃなく唇にしちゃうあたり。周りは『あらカワイイわね~』くらいにしか思わなかっただろうね。微笑ましい光景、なんじゃない?まあ、一桁だから。俺だって、今ならそう思うよ。
でも当時は、子供ながらに衝撃的で。ビックリして泣き止んだ覚えがある。で、子供ながらに妙な気持ちになった。捕まった、みたいな。…俺もしっかりませてたのかも(笑)。
あれから20年以上。自由にやってるけど、会うとやっぱ、持ってかれるね。いろいろと。
「おまえはちっちゃい頃から勇ましかったよな。ヒーローみたいな感じでさ」
「ヒーロー?せめてヒロインでしょ」
「いや、ヒーローでしょ。泣いてるお姫様にキスなんてしてさ。いつも俺のこと助けてくれたじゃん」
「そうだっけぇ?てゆーか、私はお姫様にキスなんてしないって(笑)」
「いやいや。実際は俺にだけど…」
「へ?何言ってんの。してないよぉ」
「…は?」
…おいおい?