• テキストサイズ

NIGHTMARE【うたプリ】

第2章 望まぬ再会



ノエルの姿を見たウォーレンは驚きに目を見開くと、アイレスに詰め寄った。
その瞳には焦りと驚き、そして少しの恐怖が混じっていた。


「アイレス、どういうことだ!何で彼女が…っ!」

「何を慌てているの、ウォーレン。彼女が今宵の生贄に選ばれたんだよ、ここにいるのは当然じゃないか」

「なっ…!!」


アイレスの冷静な返しだが、ウォーレンは平静を取り戻せない。
今にも泣き出しそうな表情さえ浮かべて、彼はノエルに改めて目を向けた。


「…君は驚かないのかい?俺がここにいることを」

「そうね…驚きたいわ。あなたが吸血鬼だってこと、今から私を殺すこと。でもね…私知っていたのよ」


静かに告げられた、驚愕の一言。
それは、ウォーレンの正常な思考を奪うには十分すぎる程の衝撃を与えた。


そう、知っていた。
ウォーレンと付き合い始めた直後に、義姉がその真実を告げてきた。

だから彼は諦めろと。

だが、そんなことは出来るはずがなかった。
その頃には、彼女は既に深くウォーレンのことを愛していたのだ。


「それを知っててあなたと今までいたの。騙しててごめんね」


対するウォーレンは次々と告げられた事実に対応しきれなかった。
ノエルが生贄であること、自分の正体を知っていたこと、全てが受け入れ難くて、信じ難くて。


なぜ君が謝るんだい。
吸血鬼でありながら人間の君に恋をしてしまったのは俺だ。
最初に近付いてしまったのは俺の方なのに。

謝るのは俺の方だっていうのに。


告げたい言葉はたくさんあるのに、いずれも発せられることは無い。
何とか絞り出した言葉は、この場に全くそぐわないものだった。



「…っ、誕生日、おめでとう」

「…嬉しいわ、ウォーレン。覚えていてくれたのね、約束を」

「誰より先に君を祝うと誓ったからね…でも、ここで祝いたかったわけじゃないさ」


力強くノエルを抱きしめるウォーレン。
彼女の18歳の誕生日。それがこんなにも苦しい日になろうとは、昨日の自分は欠片も思わなかった。

今、腕の中にあるこの温もりが、数時間後には消えているだなんて思いたくもなかった。
/ 20ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp