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大吟醸「夫婦漫才」【Mr.FULLSWING】

第2章 旦那


番組はあたし達を知ってか知らずか、お祝い騒ぎで進行する。
「・・・選手の今年の抱負は?」
挨拶も一段落したらしく、正月らしい質問が選手に投げかけられる。
「去年はホームラン王を頂いたので、今年も獲得したいですね。あとはチームを日本一に導くことでしょうか。」
「おぉー!頼もしいことですね!」
わーわーと拍手がわき起こる。
あたしはこの選手嫌い。冥の球が打たれたのよね。
今度は卵焼きを手づかみで食し、熱燗をお猪口につぎ足した。
「プライベートの方では何かありますか?」
「そうですねー。去年3人目の子供が生まれたので、今のオンボロ車を大きい車に新調したいですね!」
おめでたい話にテレビの向こうでは笑いが起こる。
「子供生まれてたんだ。」
「まだ若いのにねぇ。30いってないでしょ?」
「今年30だったかな。」
野球好きの父さんがしたり顔で答える。
「ならあたしぐらいの時に結婚したのかなー?」
「だったと思うぞ。」
何となく3人とも言葉が続かなくて、そのままテレビを凝視して黙り込んでしまった。
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