第1章 嶺帝学院
学校が終わり、帰宅しようと荷物を纏めていると担任の先生に声を掛けられた
内容は委員会の事
私は余っていた図書委員をするように言われた
丁度、今日は当番の日で今から図書館へ行ってくれと頼まれた
先生は一言「大丈夫か?」と付け加える
きっと私の体調の心配をしてくれているのだろう
彼女は返答し、軽く微笑みを浮かべて図書館に向かった
ー図書館ー
「よいしょっ」
私は返却された本を棚に戻していく
結構地道な作業が多いけれど、私は図書委員というものを気に入った
本を読むのは好きだし、みんなが読んだ本を見るのも面白かった
ふと返却された本の題名を見ると
【ハムレット】
シェイクスピアの四代悲劇の1つ
私はシェイクスピアの作品が大好きだった
悲劇に喜劇、どちらを取っても不思議と惹き付けられる作品ばかりで、読み始めると終わるまで眠れない事もよくあった
久しぶりに読んでみたいなと思って裏を向ける
「あれ?」
この本の裏にはあるはずのバーコードが貼られていなかった
それに、図書館の印も押されておらず
ただ、下の方に『R,M』の文字が書かれてあった
誰かのイニシャルだろう
間違って一緒に返却してしまったのだと思い、私はそれを忘れ物の棚にしまった
ーーーー気づくともう時計は2時間近く過ぎていて、図書館に人は誰もいなかった
私は急いで帰ろうと外に出る
教室も全て電気が消えていて、薄気味悪い
こうゆう雰囲気はあまり好きじゃない
廊下を速足で歩き、階段を降りようと手摺に手をかける
「わぁ!」
段を降りようとすると、何か足元に影が見えて私は思わず下ろそうとした足を上げる
「..........」
そこに居たのは、1人の男子生徒だった
一先ず幽霊とかじゃなくてほっと肩を撫で下ろす
でも、なんで....こんな所に?
その生徒は階段に持たれ、すやすやと眠っていた
まさか体調でも悪いのかと思い、近づいて顔をのぞき込む
私はまたも驚く
薄橙の髪色で無造作に跳上がる髪の毛
白い肌に整った顔立ち
鳥肌が立つ程美しいこの人に、私は恐ろしくも引き寄せられた
どうやらただ単に寝ているだけのようで、私はほっと安心する
それにしても、この学校は本当に何かにつけて飛び抜けているなと熟々思う