第1章 嶺帝学院
普通の会話、普通の女子生徒
私はちゃんとそう見られているだろうか
そんな事を考えていると1人の女子が窓側の席を見て言う
「見て、スバルくん今日もかっこいいね」
彼女は頬を赤らめて1人の男子を見る
私は彼女の態度で彼の事が好きなのだろうかと思う
しかし、少し違う
彼女だけでなく他の女子もみんな彼を見て満足そうな表情をする
私は不思議に思って「だれ?」と尋ねる
すると、みんなは驚いた顔をして私を見る
「え、知らないの!?」
彼女達によると、彼は神無町の小さな森の向こうにある豪邸の住人らしく
6人兄弟の末っ子だそうだ
驚くほど美形の兄弟で、この学校で知らない人はほとんど居ないそうで彼女達も魅入られたように彼を見つめる
私はふと、彼に目をやる
銀色の髪で前髪が長く、片目しか見えないが確かに綺麗な顔立ちをしている
彼は机に足を乗せ、授業など受けるつもりは無いようでずっと外を見ていた
正直、私はかっこいいよりも少し怖いと思った
人間離れした顔に姿....
彼は本当に同じ人間なのだろうかと疑うほどに
私は彼女達ほど彼に興味を抱かなかった
元々、男子は苦手で自分から話しかけることはめったに無い
ただ....
「"逆巻"スバルくん
本当にかっこいいよね」
『逆巻』
この名には聞き覚えがあった
一年前、私が倒れた時、私を抱きかかえて保健室まで連れてきてくれた人が居たそうだ
名前は確か...."逆巻シュウ"さん
聞いた話によるとこの学校の三年生できっとスバルくんのお兄さんなのだろう
お礼が言いたかったけれど、もう彼は卒業しているだろうからそれは出来ない
わざわざ、スバルくんを通して伝えるにしても私にはそんな勇気はこれっぽっちも無かった