第9章 月夜の宴
「はぁ....だる....」
人が居なくなると、シュウは一気に元の彼に戻った
「社交辞令なんて....反吐が出るな」
そう言ってシュウは側にあるお酒を飲み干す
私も飲み物を手渡される
「安心しろ、酒じゃない」
そう言われて、私はほっとしてそれを飲む
そして、先ほどの事を思い出す
確かに夜会こどにあれほど注目を浴びれば、シュウが面倒くさがる気持ちも分かる気がした
「私、シュウの事勘違いしてたよ」
「?」
「シュウもちゃんと、家の為に頑張ってるんだね」
先程、彼等と話した内容はどれも付け焼刃だけで通る話ではなく
何でもこなす彼は、凄くかっこよかった
素直に微笑むルカを見て、シュウは思わず目を逸らす
「別に....//
大体、あいつらの考えなんて見え透いてる
どうせ俺に付け入って、未来の当主に媚び売ろうって魂胆だろ」
ため息混じりにシュウは呟く
一瞬....目の前の彼がすごく悲しそうに見えた
すると、彼の右手が私の頬をなでる
「....この家のことなんてどうでもいい
俺はーーーーー
『シュウ』
彼が言いかけた所で、彼の名を呼ぶ声に遮られる
その声の主を探すように私は首を動かす
そこには、紅いドレスを身にまとい、真っ白で綺麗な肌をしたお姫様みたいな女性が居た
再び、彼等と出会った時の感覚を思い出す
整った顔立ちに、美しい長い髪....
やはり、ヴァンパイアの女性も人間とはまるで別格だった
シュウはその人物を見て、深くため息をつく
『リカ....』