第9章 月夜の宴
「何の用だ?」
シュウはため息混じりに尋ねる
「何だじゃないわよ
私も一応お客様なんだけど」
「今更、客ぶるなよ
どうせレイジに相手にされないからって、俺に話しかけたんだろ」
「っ....うるさいわね」
図星だったのか、彼女はシュウの顔を睨む
一方で、彼は見下したように目を細めていた
この2人は一体、どうゆう関係なんだろう....
すると、彼女の視線が私に向く
「あぁ、また新しい婚約者?
貴方もライトと変わらないじゃない」
彼女はコツコツと私の傍まで来て、じろじろと私を見る
「私は藍堂リカ
彼等とは、一族の関係で昔からの知り合いよ」
堂々として、美しい彼女に私は思わず固まってしまったが、すぐ様言葉を返す
「私は、立花ルカです」
私が名乗るとリカさんは何かに気付き、驚いた顔をした
「貴方....”人間”よね?」
「!」
ひと目で人間だと見抜かれ、動揺する
「何驚いてるの?
ヴァンパイアなら、そのくらい直ぐ気づくわよ
でも....」
彼女は私が人間だと分かると不思議そうにシュウを見た
「人間界の学校に通ってるとは聞いたけど、
まさか、貴方が”まだ”人間と関わってるなんて....」
えっ....?
「ッ....」
リカさんの言葉にシュウは少しイラついたようにグラスを置く
「別に、好きで人間界に居るわけじゃない
大体、そんな無駄話する暇あったら
あいつのとこ行けよ」
シュウの視線の先には、私達よりもずっと大人な背の高い男性が見える
「っ....」
リカさんはその人を見て、歯を食い縛る
しかし、直ぐに元の表情に戻り
「本当に残酷な人....
でも、忠告しといてあげる
いつまでも、皆は待ってくれない
貴方もいずれ私と同じになるわ」
そう言い残し、リカさんはその男性の元に歩いていく
「........」
隣に立つシュウの空気がひどく重く感じた
私が思ってる以上にこの家は....
逆巻シュウは
闇に包まれているのかもしれないーーー