第8章 晩餐会
私はそのまま、奥の部屋に進んだ
「!」
角を曲がったそこは、一風変わって華やかな薔薇の匂いがただよう1室になっていた
暖炉にベッド....奥にはドレスやアクセサリーが山のように並べてあった
庶民の私でも分かる、ここにあるものはどれも一級品だ
私が呆然と立ち尽くしていると....
『やっと来たか』
「!」
背後から声をかけられ、肩が飛び跳ねる
薄暗い奥から現れたのは幽霊ではなく、蒼い目を持つ彼だった
「シュウ!どうしてここに!」
いつも通りダルそうに欠伸をしながら、彼は答える
「何でって、お前のドレスを選ぶ為に決まってる」
「えっ!?」
私は聞き間違いかと思い、脳内を何度も再生する
シュウが私のドレスを....?
動揺している私に反して、彼はどこか機嫌が悪そうに口を開く
「めんどくさい、いいからさっさと選ぶぞ」
シュウは適当にそこら辺の飾られたドレスに目を向ける
「あんた、体が貧相だからサイズが合うかも微妙だよな」
「ッ!!///余計なお世話です!!//」
彼の戯言にそっぽを向けていると私はふとマネキンに飾られた二つのドレスに目を向ける
紫色の薔薇をモチーフにしたであろう綺麗なドレスと
橙色を基調とした落ち着いてどこか気品のあるドレス
よく見ると奥にはまだ何も飾られていないマネキンもあった
「それには近づくな」
じっと眺めていると、シュウが横から声をかけてくる
「どうして?」
こうして飾られているのだから特別な物に違いないと思ったが、このドレスを見るシュウの目は凄く揺らいでいた
「....ここは、俺の親父が作った、選ばれた者だけが入れる隠れ部屋だった」
「シュウのお父さん....?」
彼は耳にかけたイヤホンをゆっくりと外す
「ここにはこの世の最高級のモノが揃ってる
ドレスもアクセサリーも....訪れる女だって....」
シュウはそのまま、私の肩を強く掴む
「ッ!?シュウ....?」
様子のおかしいシュウ....
ドレスを見てから明らかに彼の目が変わった
「でも、そんな物はあの男には取るに足りない物ばかりだ....
あいつがほんとに求めてたのは....」
ドサッ....
「えっ....」
シュウは突然、私を隣のベッドに押し倒した