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蒼い恋

第8章 晩餐会



『久しぶりだな』

蝋燭を持ち、奥の扉の前に立っていたのは同じ学園の先輩である、無神ルキさんだった

「どうして....貴方がここに....」

私が尋ねると彼は驚いたように目を開いた

「何だ、知らなかったのか

俺も逆巻と同じヴァンパイアだ」

「!!」

彼が、ヴァンパイア....?
ということは無神コウくんも....

人間離れしていると思ってはいたけど、まさか本当に人間じゃないなんて....

思いもしなかった事に私は驚く

「まぁ、いい」

ルキさんは一つの鍵を扉の鍵穴に差し込む

ガチャ

彼の開けた扉の向こうには地下に続く階段があった

「ついて来い」

ルキさんは構わずその階段を降りていく

私は急いでその後ろに続く


「あの....どうしてルキさんがこんな事を?」

逆巻の人と彼は何か接点があるのだろうか....

この家はヴァンパイアの王家であると聞いている

ならば、この家に入れるのは限られた者だけのはず....


「俺はただの使者だ」

「使者?」

彼は振り返りもせずたんたんと歩みを進める

「強いて言うならば、選ばれし生贄の花嫁の案内人....とでもいったところか」

生贄の....花嫁....

聞き慣れない言葉に頭を傾げていると、何を思ったか、ふと先程の像が頭を過ぎる....

「ルキさん....あの、広間にあった女の人のモニュメントって....」

ルキさんは少し間をとって、口を開く

「あの女達は今まで、お前と同じくこの家に婚約者として嫁いできた者達だ」

「っ!!それって....どうゆう....」

ふいに頭を過ぎった悪い予感が的中する

「美しいままに時を止めてしまいたい、その末路があれだ」

背筋がぞっとする....

彼女達がここに招かれた花嫁達なら、私も....

「着いたぞ」

ルキさんの立ち止まった先には角の向こうから明るい光がさしていた

「この先、お前が道を求めるなら俺達は再びお前の前に現れるだろう」

ルキさんは来た道をゆっくりと登っていく

「お前が、あの花嫁達と同じにならない事を、願っている」


全てはカールハインツ様の望みのままにーーーー


そう言い残し、彼は暗闇に姿を消した


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