第8章 晩餐会
「はぁーぁ....なんで俺達も夜会に参加しなきゃなんねーんだ?」
シュウが居なくなったとたん、アヤトは悪態を付き始める
「どーせ、シュウが主役なんだから俺達別にいらなくね?」
「っ....」
今回の夜会はシュウの婚約者決めが目的なのだ
改めて実感させられた気がして、体が縮こまる
「にしても、何回目だよ....いい加減、親父も諦めろよな....」
スバルは深くため息を付く
「結局、シュウはこの家を継ぐ気も結婚する気もないだろ」
静かに食事をすることを諦めたレイジはナイフとフォークを手から離す
「シュウがどうするかなど、関係のないことですよ」
一人話に馴染めていない私を見て、アヤトくんは嘲笑うように微笑んだ
「お前も覚悟しとくんだな」
「えっ....」
それに合わせて、ライトも不敵な笑みを浮かべる
「君を見るのもあと少しかぁ....」
どうゆうこと....?
的を射無い言葉に私は動揺を隠せない
「止めなさい貴方達」
レイジが話を中断しようとするが、アヤトは構わず口を開く
「夜会が終わった後、今までのシュウの婚約者がどうなったと思う?」
ライトの手に持つ透き通ったナイフに私の姿が映る
「君が思う以上にシュウは壊れてる
取り込まれたら最期....ってね?んふっ♪」
「っ....!!」
シュウが....壊れてる....?
それはどうゆう意味なのだろうか....
ふと、あの保健室で会った時のシュウの表情を思い出す
あの時の彼はどこか虚ろで、私じゃないだれかを見ているような気がした
彼はあの時、何を思っていたのだろうか....
コトンッ....
私が俯いていると目の前に一つの鍵と小さな紙切れが置かれる
顔を上げるとそこにはレイジさんの姿が映った
「これは....」
「我逆巻家の花嫁に選ばれた方に代々お渡ししている物です
今夜中に訪れなさい」
小さな紙切れにはこの家の地図が書かれてあった
一つ離れた建物に赤い丸が付けられている
「あと....」
「?」
「貴方は食事の仕方だけは教えずとも完璧でした
明日は粗相のないよう
逆巻の花嫁として立ち居振る舞いなさい」
「!」
これは褒められたのだろうか....?
初めて言われた言葉を私は素直に嬉しく思った