第8章 晩餐会
夜会前夜
逆巻家では月に1度の晩餐会が開かれていた
大きく長いテーブルには多くの食事が並び、
この家の住人である、6人の兄弟が腰掛けている
私もその中で食事を頂くことになった
といっても、この兄弟は仲があまり良く無く、空気はいつもより重苦しい
「ねぇねぇ、ルカちゃん?」
「どうしたの?ライトくん」
帽子を被った彼は逆巻ライト
アヤト、カナト、ライトの三つ子の1人でどこか妖艶な笑みを浮かべている
「練習頑張ってるみたいだけど、今日の最終チェックはボクがしてあげようかー?」
隣に座るライトは体を異常に近づけてくる
「今なら、ヴァンパイアを惑わす....トクベツなレッスンを教えてあげるよ?んふっ♪」
「ッ!!//」
「ライト、やめなさい
折角の私の食事がまずくなります」
レイジは眼鏡の下からキリッと睨みつける
「冗談だよー全く、レイジは堅物だなぁ~」
簡単に引き下がった彼に私はほっと肩をなで下ろす
「レイジ、早くデザートを出してください」
ライトの向かいには、テディと呼ばれるぬいぐるみを持った逆巻カナトが座っている
「カナト。あなたは前菜すらまともに食べていないではないですか」
彼は全く皿に手をつけていなかった
「うるさい!!こんな物を僕に食べろってゆうの!?僕が野菜を嫌いだって、いつも言ってるだろ!!」
「ッ!!」
「はぁ....」
カナトくんは少し癇癪を起こすことがよくあって、私は毎度驚かされる
ガチャン....
皿が乱暴に置かれる音がする
私の向かいを見ると、いらいらした面持ちのシュウが静かに立ち上がっていた
「うるさい....俺はもう戻る」
「待ちなさい、シュウ」
扉に向かうシュウをレイジが止める
「明日の夜会....父上に失礼のないよう、くれぐれもお願いしますよ」
シュウはちらっと後ろを見て、何も言わず部屋から出ていった