第10章 離れてしまった仲間たち
外に出ると、日差しが眩しかった。ぼーっと足を進める。前では、ズズやころ、えなやちうが楽しそうに走り回っている。
「あー、結構流されちゃったみたいだね」
ここは、ジョウト地方とホウエン地方の真ん中にある離れ島。離れ島ということで、やはり本島まで距離があるらしい。どちらも船で5時間はかかる。しかも、その船は3日に1本しかこないというから驚きだ。
「いっそ…この島に住もうかな…」
しかし、そうは言ったものの、助けてくれたあの人たちにこれ以上迷惑はかけられない。それに、もしも追っ手が来た場合、ここでは逃げ隠れできない。……やはり、別の手を考えるか。ため息ばかり出る。
「……日差しがつっよ」
海が近いからだろうか、日差しがやけに煩わしい。しかし、皆随分遊び溜めしていたらしく、はしゃぎようが半端ではない。
「あー、ころえな。あまり遠くに言っちゃダメだよ」
彼女たちを追いかけていくと、何やらツンッと鼻につく臭いが。……なんだろこれ? 石油?
「あ、そういえば、工場があるんだっけ?近づいちゃいけない」
私は彼女たちを戻そうと声をかけた。しかし、えなもころも止まってくれない。私の体力じゃ追いつかない。
「ちう、ポニータ」
「ちゅっ!」
ちうは途端にポニータへと姿を変えると、あっという間に彼女たちに追いついた。私はあとからゆっくりと追いつき、ころを抱きあげた。この元気っ子たちめ。
「……ん? ちう、戻って」
えなが唸り声をあげたため、私はちうをピッチューに戻し、草むらに隠れた。しーっと合図すると、ニコッと私の膝の上に登ってきた。可愛いやつめ。
「……はぁ。ったく、やってらんねぇよ」
やってきたのは、何やら見覚えのある赤い服を着た2人組。2人組はタバコを吸い、ため息をついていた。
「幹部がなんでわざわざ視察なんか。それも突然だぜ? 俺たちにも準備があるんだっつーの」
「けけけ!確かにな。結構俺らちょろまかしてきたからな。だが、ホムラさんじゃなくて、カガリさんでよかったじゃねぇか。あの人、めっちゃ美人だぜ?」
「お前あんなのがタイプなのかよ。俺は嫌だぜ?確かに顔はいいけどよ。あの人、不気味じゃねぇか」
その会話を聞きながら、私は思い出した。あの赤い服、ホムラという幹部。間違いない。ムロのあいつらだ。しかし、あの青い服の奴らとも仲間なのか?