第10章 離れてしまった仲間たち
部屋の外へと出て、階段を降りると、やはりここが民宿だということが分かった。
「……おぅ、起きたか」
私を出迎えてくれたのは、年が60くらいのおじいさん。私はお辞儀をした。この人も私を助けてくれたようだ。
「お前さん…エメラルドつったか。俺はデン。この民宿のオーナーだ。」
「こ、この度は…その…私を助けて下さり……」
私はコミ障を発揮してしまい、しどろもどろになった。視線も斜め下へと向かう。
「気にすんな。それより、外に出てもいいが、外れの工場には行くなよ」
そう言うとデンさんは、奥へと行ってしまった。………ボールを探すか。
「あら? エメラルドちゃんもう大丈夫なの?」
タツさんは手元にボールを2つ持っていた。私はすぐにそのボールに駆け寄った。
「この子達、最後まで出てこなくてね。でも、デンさんが心配ないっていうから」
「ありがとうございます!」
私はホッとしながら、ふたつのボールを受け取った。この2つのボールは特殊で、とあるボール職人に作ってもらった発注品。ボールの中は住み心地よく、防水加工済。あの職人も作ったことのないボールだったらしいが、何年も出てこないこの子達が生活できているところを見ると、ボールは成功したみたいだ。私はどちらかというと、心配だったのは、ころやえな、そしてズズだ。ころやえなは、別に引きこもりでもないので、職人からこの機能はいらないだろうとばっさり斬られたのだ。ズズは普通のモンスターボールだし…。まぁ、全員無事だったからよかった。