• テキストサイズ

可愛いポケモンに囲まれて

第10章 離れてしまった仲間たち


「よかった…。ズズ、私を海岸まで運んでくれたんだってね。ありがとう」

ぎゅっと抱きしめると、ズズはヒレを左右に動かした。えなもころも私の顔を満遍なく舐め、ちうも私の手に自分の体をなすりつける。この子達が落ち着いているということは、あとの2匹も無事だということだろう。

「やっぱりご主人様の元気な姿が1番の薬だね。皆、あなたを心配して、この部屋を離れなかったんだよ。彼らも治療が必要だったから、無理やり引き離しちゃったけど、ずっと元気がなくてね。よかったよかった」

嬉しそうにちうの背中を撫でる女性。私はお礼を言った。

「すみません。助けていただいてありがとうございました。私はエメラルドと言います」

「私はタツ。ここはジョウト地方とホウエン地方の間の離れ島。何にもないところだが、ゆっくりして行っておくれ」

私の肩をぽんっと手を置くと、部屋を出ていってしまう。……何で私が海に漂流していたのか追求しないでくれるようだ。ありがたい

「……ズズ。ここにいるのは私たちだけ?」

「ヌマッ」

すると、ルビーもサファイアもタニさんもここまで流されてはいないようだ。…無事ハギ老人と合流できていれば良いが。

「ちゅっ!」

ちうが私に弱い電気を向けた。ピリッとした静電気が私を励ましてくれる。

「うん。そうだね。あの二人なら大丈夫」

それにあの二人以外にも気になることがある。私たちを助けるかのように現れたあのはかいこうせん。あの方向は、恐らく海上で打たれたもの。そして、それを命じた人に心当たりがあった。あの竜巻がポケモンの技であることを見抜き、かつ足場が不安定な海で打ち、またそれをなんなく成功させることのできる人物。

「あのクソ親父以外にいないでしょ」

何故か確信が持てた。この世ではかいこうせんをうてるポケモンを持つトレーナーなど多くいるのに。そして、鉢合わせをしなかった自分の強運に心から喜んだ。
/ 122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp