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可愛いポケモンに囲まれて

第10章 離れてしまった仲間たち


~サファイア side~

遠くで大きな音がした。私は思わず、そちらを向いた。あれがもし誰かとのポケモンバトルだったら、強い部類に入るだろう。胸が少し高鳴るとともに、気分も落ち込むのがわかった。後ろにいるルビーが私の肩を叩いた。

「早くここから離れなきゃ。母さんに見つかったら、怒られて否応でも連れ戻されるぞ」

それを聞き、私は慌てて前を向き、足を早めた。マミィの怒る顔が目に浮かぶ。しかし、今の私に旅を続ける意味などあるのか…

「ねぇ」

私は紛らわせるためにルビーに疑問を投げかけた。これ以上、あのことについて考えたくなかった。

「ルビーは何で付いてきたの? あのまま母さんのところに戻ればよかったじゃん」

まぁ、どうせルビーのことだから、私だけじゃ心配だーとか言うんだろうけど…

「エメが心配だし、それにサファイアだって、本調子じゃないだろ?」

しかし、ルビーの答えは私が思っているのとちょっと違っていた。私は思わずルビーを振り返った。

「だって、サファイアいつもより口数少ないし、野生のポケモン見ても反応しないしさ。…負けたこと引きずってるんだろ?」

図星をつかれ、私はそっぽを向いた。

「初めてだもんな。お前、負け無しだったし」

そして、思いっきり私の背中を叩いた。びっくりして、曲がっていた背中が伸びるのが分かった。

「よかったじゃん」

「は?」

私はルビーに食ってかかった。何を言ってるんだこいつは。私は負けたんだぞ!みずのはどうでこんらんさせられて、チャモが何もできず戦闘不能になった光景が蘇り、私は拳を強く握った。…悔しい。自分の勝利を疑わなかった。しかし、結果何も出来なかった。チャモの能力を何一つ引き出すことも出来ないまま。自分がこんなにも弱かっただなんて…

「ルビーは知らないから言えるんだ!! ポケモン触ることすら出来ないくせに!!パピィのフィールドワークすら手伝ったことのないルビーなんかに分かるもんか!! 私は……!私は……」

酷いことを言った。それは自覚していた。しかし、もう止まらなかった。

「私は、強くなるために家を出たの! ここからは一人で行く!!ルビーはエメラルドでも探せばいい!」

ずっと考え込んでいた思いが口から溢れ出る。私は息を吸った。

「エメラルドだってもういい! 嘘ついてたんだから! 」
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