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可愛いポケモンに囲まれて

第10章 離れてしまった仲間たち


~敵side 下っ端~

計算が狂ってしまった。俺は仲間に逃げたガキ共のことを連絡しながら、そう思った。予定では、ガキ共の親と接触し、病室でガキ共と親を本部へと連れて行く。そして、親を人質に取り、行方不明のガキを探して、罰を与える…はずだった。しかし、ガキ共は病室から逃走し、その行方は今もわからない。俺は内心焦っていた。しかも、2人いる親のうち、1人は取り乱しており、泣き出す始末。クソ!嫌な仕事に当たったもんだ。しかし……。俺はちらりもう片方の親を見た。とても、1人のガキがいるとは思えない程整った容姿をしている。すらりとした体型、整った顔立ち、白魚のような肌、艶かしい唇が動く度、俺はごくりと唾を飲み込んだ。……案外、悪い仕事でもなかったか。俺は歪む口元を抑えながら、女に近づいた。女は俺の方を見た。ガキ共が見つかったと思ったようだ。

「奥さん…」

俺は極めて悲しそうな声を出した。筋書きはこう。ガキ共は何らか事故で死んでいて、その死体を確認してほしいと言って誘導。そこで、捕まったガキ共を待つ。その待っている間に……俺が人質に何をしようと咎められないだろう。

「…子供たちは…残念ですが……」

しかし、この俺の筋書きもいとも簡単に崩れてしまった。病室のドアが突然開き、俺と同じ服を着た警官が入ってきた。俺は慌ててお辞儀をした。…この上司が来るなんて聞いてない!

「子供たちはまだ見つかっていないようですね。行方不明の子供も」

「は、はい!」

くそ!これじゃあ、好きにできねぇじゃねぇか!俺は舌打ちしそうになるのを抑え、ペコペコ頭を下げた。…下っ端は辛いぜ。

「あの…エメラルドちゃんが行方不明ってとういうことですか?」

目を腫らしながら聞く一方の女。俺は貼り付けたような笑顔を見せる。

「どうやら流されてしまったようでして…しかし心配はいりません。すぐに見つけ出しますので」

しかし、女の不安な表情は晴れることはなく、まだなにか聞きたいことがあるようだった。俺はうんざりしながら、上司に助けを求めた。あんた何のために来たんだ。

「………え……嘘だろ………」

しかし、上司は呆然と女達の方を見ているだけだ。……何だか知らんが、丁度いい。俺はスキをついて、仲間に連絡を取った。
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