第2章 私はエメラルド。略してエメ
「おっといけない! サファイヤに怒られてしまう! それじゃあね!」
慌てて自転車にまたがるその後ろ姿を見て、そして私は自分の手のひらにあるものを見た。さりげなく仕事を手伝わせるあたり、流石あのクソ親父のご友人様。驚きすぎて返しそびれたわ。
「………家出決行の日にポケモン図鑑渡すあたりさすが父さんというか…」
ルビーがそう呟いた。確かにあの人運と直感だけで今の地位についたような所ありそうだもんね。
「出してみないの?」
そう失礼なことを考えていると、ルビーが私のモンスターボールを指さした。
「………家に帰るのが先決。疲れた。眠る」