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可愛いポケモンに囲まれて

第2章 私はエメラルド。略してエメ


「……ねぇ、本当にするの?」

家に戻ろうとする私の後ろをルビーが付いてきてそう言う。

「まぁね。あのクソ親父に会わなくて済むもん」

「でもさ…無茶だよ。お金だってないんだし……それにさ……」

「お金は貯金してるのがあるし、サファイヤだってお小遣いがあるでしょ。あんたと違って父親のフィールドワーク手伝っているんだし」

それを言うとうっと言葉をつまらせるルビー。ルビーは手持ちのポケモン以外のポケモンが苦手なのだ。なんか小さい頃何かあったらしいけど、別段興味もないし聞いたことない。

「ルビーは来ないんでしょ? だったら関係ないじゃん」

むしろ来られても邪魔というか。野生のジグザクマ1匹で騒ぎ立てる奴だから。

「……………」

そう言うと黙り込むルビー。やっと大人しくなった。

「んじゃ、私準備があるから……」

「おや? そこにいるのはエメラルドじゃないか! 久しぶりだね」

……げっ!その声に私はひきつる顔を抑えながらゆっくりと振り向いた。そこにいたのは、幼馴染み二人の父、オダマキ博士だった。

「ついにルビーが家から出したか。こいつずっと君の心配していてね。しかし、家ばかりこもっていてはいかんな。そうだ! 今から森へ調査に行くんだが君も一緒に……」

「結構です!!」

こんなふうに顔を合わせる度にフィールドワークへ連れていかれそうになるので、私はこのおじさんが苦手だ。あのクソ親父の友人ってこと時点で合わないとは思っていたけれど。

「また振られてしまったか。センリから外へ連れ出してくれと頼まれているのに困ったもんだ。おっ! じゃあ、これはどうだ?」

ごそごそとカバンから取り出したのは一つのモンスターボールだった。

「うちの子供たちと一緒の誕生日の君に早いけど誕生日プレゼントだ。大事にしてくれよ。あとこれもついでに」

そう言って手渡されたのは、ポケモン図鑑だった。
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