第10章 離れてしまった仲間たち
~ルビーside~
僕の中で、エメラルドという人物は、とても活発であり、聡明であり…そして、とてもポケモンが大好きだというイメージで固定していた。だから、久々に再会したとき、驚いて開いた口が塞がらなかったのを覚えている。あんなことがあり、僕はポケモンに触れることができなくなった。だけど…だけど僕は……
「ルビー…ルビー! 起きて!!」
バチッという鈍い音が頬の痛みとともに、突然訪れた。僕が目を開けるのと同時に、目の前の影は僕の首襟を引っ張った。
「サ…サファイア!? なにする……」
「しっ!!」
口を抑えられ、木陰に押し込められた。段々頭がはっきりしてきて、僕はハッとサファイアの腕を掴んだ。サファイアは僕の口を手で塞ぎ体重をかけてくる。
「シャ…シャファイヤ!! ヘメは!? モゴモゴ…」
「静かにして! 連れ戻されたいの!?」
サファイアの必死な様子に気圧され、僕は口を噤んだ。そして、サファイアと共に草むらからこそっと顔を出した。すると、
「…では、今回の主犯格は、青い服をきたイズミという女と、ウシオという男なのですね?」
「は…はい! それで、女の子が1人行方不明で…エメちゃんと言うのですが…」
「……なるほど。家族旅行で……では、その子達の病室に案内して下さい」
僕はヒッと息を飲んだ。そこには、事情聴取を受けているタニさんと、警官。そして警官の隣には、僕らの母さんとエメのお母さんがいたのだ。