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可愛いポケモンに囲まれて

第10章 離れてしまった仲間たち


~ルビーside~

その時の僕は、彼女の登場と共にその言葉が大変驚きだった。同じ年の子どころか、かなり上の子でさえ、その口からポケモンが強いものだという言葉を聞いたことがない。むしろ、ポケモンは友達でまた家族だという認識だった。さらに、彼女は僕を驚かせる。

「あら? あの子達は一緒じゃないの?」

「一緒だよ!! 出ておいで!!」

後ろのバッグから出てきたのは、二匹の可愛らしいポケモン。しかし、2匹とも彼女と一緒でやけに泥だらけだった。

「そこにいたの。あなたたちもお風呂に入りましょう。あ、エメちゃん。こちら、オダマキ博士の奥様とルビーくんとサファイアちゃん」

僕らに話題が移り、慌ててぺこっと頭を下げた。すると、エメラルドは先ほどと打って変わって、行儀よくお辞儀を返した。

「はじめまして。センリの娘、エメラルドです。よろしくお願いします」

とても同じ年だとは思えない程、ハキハキと丁寧な挨拶を返すエメ。母さんはにっこりと微笑み、彼女を褒めた。彼女はくるりと後ろを向き、足元でじゃれているポチエナとエネコに言った。

「ころ、えな! あの木まで競走ね!!りりぃ、ひめ! 振り落とされないでよ! 」

そして、走り出したエメは、その4匹と戯れ始めた。その光景を僕らは唖然と見ていた。母さんは、その光景を微笑んで見ている女の人に聞いた。

「ジョウトでは、あの年の子でもポケモンを持っているの?」

「いえ。あのヒメグマちゃんたちは、あの子のポケモンではないのよ」

エメのお母さん曰く、怪我していたところをエメが連れて帰ってきて、それから一緒に住んでいるらしい。驚いたことに、エメは小さい頃からセンリさんから修行をつけてもらっているらしく、いまではヒメグマたちとポケモン同士のバトルもしているらしい。

「でもね、あの人はあの子にボールは、まだ持たせられないって言うのよ。ある程度の年齢に達して、ポケモンとパートナーになるって覚悟ができた時、ボールを渡すんですって」

ほんと、親バカよねと、笑うエメのお母さん。それを聞き、隣のサファイアは興奮してエメの方に走り出した。

「すごい!私も野生のポケモンとバトルしたい!」

そして、エメたちの輪に加わるサファイア。ついこの間まで、コンテストを夢見ていたはずなのに…。影響を受けやすい彼女に呆れ、僕もまた彼女達の元に走り出した。
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