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可愛いポケモンに囲まれて

第9章 捨てられ船


幸いにも、タニさんはサニーゴとスバメを1匹ずつ持っていた。…間に合うか…。私は彼らがいる後ろを目指して走り出した。

「ズズ! マッドショット!!」

私はズズに命じて壁に穴を開けた。すでに大きな穴が2つほどあったので、穴はすぐに空いた。私はタニさんのツバメに叫んだ。

「あの敵と逆方向にある船を探して! その船長に、主人を救出させるの!いい?」

短い指示だし、私はこの子の主人でもなかったから聞いてくれるか分からなかったけど、ツバメは了解したようだ。ツバメはズズが空けた穴から飛び去った。

「逃がさない!フローゼル!! やりなさい!!」

イズミはポケモンを出すところを見ていたようだ。…くる!私は後ろを走るズズの手を取り、足を早めた。穴の近くでは、サニーゴを抱き抱えているタニさんを真ん中にサファイアとルビーが、離れないように体をくっつけていた。

「かまいた…」

終わった。死を覚悟した瞬間、走馬灯のような見えた。家出した時のことや、ホウエン地方に引越ししてきた時のこと。住んでいたジョウト地方のこと…記憶が遡っていく。そして、同時に後悔の念や悔やみきれないほどの過ちも思い出し、私は目を閉じた。やっぱり…私の間違いは、最初から……

「ヌマッ!?」

不意にズズが私を呼び、私は走りながらも後ろを振り返った。空にはどこから出てきたのか赤い光が一直線に風の渦の中心へと向かっていった。
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