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可愛いポケモンに囲まれて

第2章 私はエメラルド。略してエメ


「………それでエメ、さっきから元気ないってわけね」

ことの事情を聞いた、もう1人の幼馴染み、ルビーの双子の妹のサファイヤはうんうんと頷いた。健康そうな肌、活発な顔、ニコニコする愛嬌ある笑顔。どれを比べても兄と同じ血が入っているとは思えない似てなさっぷり。

「エメが外に出ると元気ないのはいつもの事だと思うけど………。でもそんなに嫌なもの? 」

「そうよ! 私は羨ましいけどなぁー。あのセンリさんの娘だなんて!!」

目をキラキラさせるサファイヤに私は、久しぶり当たる日差しにゲンナリしながら、彼女の方を向いた。

「………羨ましいものですか。母との結婚記念日には帰ってこない、誕生日にも帰ってこない、家のことはほぼ母に任せっきりで、心配かけてばっか。そのくせ家のことは仕切りたがるし。ほんと最悪よ。暑いし、キモイし、べたべたするし最悪、なんでこんな所にいんの私」

「……センリさんの話から突然だなぁ」

「よくぞ聞いてくれました!! あのね、私考えたんだけど、私たちの誕生日ってもうすぐでしょ?」

私たちの誕生日、5月20日。今四月の半ば。

「一ヶ月先だけどね。それで?」

早く話を終えて涼みたい私は話を促した。

「十五の年になると冒険者になってもいいんでしょ? でも最強のトレーナーになりたい私はもうすぐでも待てないの!! だからだから、その前に……冒険に出ちゃおう!ってわけ!」

ナイスアイデアでしょ!という彼女に私とルビーは呆然とする。つまりは家出をしようと持ちかけられているわけで………

「はぁ!? 何言ってるの!? そんなのダメに決まって……」

「ルビーには聞いてないもん。私はエメに言ってるの!! 」

喧嘩する双子をよそに私は思案していた。確かに……その案はなかった!一ヶ月後、おそらくあのクソ親父は私にジムリーダー回りを強制させるだろう。そんなものはゴメンだ。だったらそれを言われる前に、クソ親父の手に届かないところに行って……そこに住めばいいじゃない!! 目に浮かぶのはころたちと楽しくゴロコロする姿。

「……その話のった!」

ピタッとお互いの頬を引っ張る二人の動きが止まった。

「えっ!? 」

「エメならそう言ってくれると思ってた!! じゃあ、今夜ね!! 今夜決行!! 親達が寝静まったらはずれの村に集合ね!!」


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