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可愛いポケモンに囲まれて

第9章 捨てられ船



「……行った?」
「…行きました?」

震える声で私に問う2人。私は頷き、体を起こした。

「はぁー!!助かった…エメがピッチューを海に放り投げたときはギョッとしたよ」

「そうですよ!何考えているんだって思いました!」

敵がいないとわかった瞬間、饒舌になる2人。私は彼らを視界に入れず、ご機嫌なちうの背中を撫でた。…こんなに大きなポケモンに姿を変えたのは初めてのだったけど、上手くいってよかった。

「ボォー」

ちうが私の下で小さく鳴いた。ピッチューの時のように小さな体ではなく、ホエルコーの姿で。

「にしても驚いたよ。この子、メタモンだったんだね。全然気づかなかったよ」

タニさんがちうを撫でながらそう言った。この辺りでは見かけないポケモンらしいが、タニさんのいとこがメタモンを持っているため、彼はメタモンに詳しかった。

「あ、そう言えば…エメ、もしかしてさっきのフラッシュって…」

長くなりそうだったところで、ルビーが私に問いかけた。私は頷いた。ムロタウンの洞窟で貰ったあのひでんマシンだ。まさかこんなところで役に立つとは。…しかし、こうも距離があると話辛い。私は適当な足場のところでおり、ちうをボールに戻した。

「にしても酷いよ! 放り投げるなんてさ!」

降りて早々、ルビーが私に突っかかってきた。私はジロっと見ながら、

「ポケモンに触れないくせして、そのポケモンに大人しく乗っていられるの?」

と聞いた。それに怯んだルビーは、黙り込んでしまう。私はちうに飛び乗る際、ルビーを近くの草木がある足場に突き落とした。多少乱暴だったとは思うが、その直後に辺りが更地になったところを見ると、我ながらいい決断だったと思う。

「ま、まぁまぁ。エメちゃんもルビーくんのことを思ってやったわけだし。あ、ほら!早くここから離れよう!…僕もこのことを報告しなくちゃいけないし……」

その時だった。大きな音が辺りをこだましたのは。それは何かと何かが戦闘している音だった。
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