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可愛いポケモンに囲まれて

第9章 捨てられ船


「え? どういうこと? もう1回言ってエメ」

私の言葉にアホ面のルビー。…どれだけあんたがやる気を出そうが、私には関係ないっての。私は無視して奥へと進んだ。敵の声は段々と近くなる。見つかるのも時間の問題。私は足場があるギリギリまで奥へと進んだ。思った通り、足場がない下は海だ。私はいつの間にかボールに戻っていたちうに囁いた。ちうはまだ出番があるのかと目を輝かせる。…可愛い奴め。そして、私はちうを海に放り投げた。



~敵 男side~

最初からそこにいることは分かっていた。ドアから室内に入った様子もなく、また逃げ込む場所も限られている。しかし、私は敢えてそこを攻撃することはしなかった。子供の恐怖心を煽れば出てくるだろう。

「さぁ、出てきてください。我々も暇ではないのです」

我々には任務がある。野望を達成するための重要な任務が。この船からあるものを探しだし、我が親愛なるリーダーに届けなければならない。

「仕方ありませんね。少々強引ですが……」

私はボールを取り出し投げた。これは最近手に入れたばかりで、コントロールがきかず、使用を避けていた。しかしまぁ、脅すにはもってこいでしょう。

「薙ぎ払うぐらいにしなさい。くれぐれも殺さないで下さいよ。ウヒョヒョ!!」

「ギャァァァァー!!」

辺りに禍々しい空気が増し、ギャラドスは長い尾で子供がいただろう場所を見通しの良いものにする。私はニンマリとしながらそれを眺めていた。そこには涙と恐怖の顔をした生意気な口をきいた子供が……

「……ウヒョ??」

しかし、ギャラドスがどれだけ薙ぎ払っても子どもの姿は現れない。ギャラドスが苛立ちが募るのが分かる。私は暴れ出す前にギャラドスをボールに戻した。

「…海に落ちましたかね」

所詮子供の浅知恵か。しかし…少々惜しい気がした。いくら激情しやすいと言っても、幹部である彼女を出し抜いた子供。戦力になることは間違いなしの逸材。

「…分かりませんねぇ。何故、逃げの一手だけだったのでしょう?」

我々の不意をついたとき、彼女と別行動を取った時…何故攻撃の機会がありながらも、攻撃を仕掛けてこなかったのか…。

「……もう止めましょう。命の源である海に帰った彼らに、言葉は不要でしょうし」

考えるのを止めた私は、飛び上がり、彼女の報告を待った。
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