第2章 私はエメラルド。略してエメ
こいつの名前はルビー。私の幼馴染みというやつだ。小さい頃沢山遊んでいたらしいが、なにしろだいぶ昔のことなので覚えていない。というのも、私は別の地方に住んでいて、最近ここに引っ越してきたのだ。……あのクソ親父のせいでね。ジムのリーダーに就任しただかなんだか知らないけど、こっちはいい迷惑ってもの。そのくせ、小さい頃から強制的にポケモンバトルをさせられて………あーやだやだ。私はここでころたちと友好的かつ平和的にダラダラと暮らすのが夢なのに。
「エメちゃん、止めさせなさい。ルビーくん怖がっているわよ」
ここからが楽しくなってくる頃なのに、ここで母親のストップがかかった。母は好きだ。基本的に自由に動かせてもらえるし、父親みたいに威圧的ではなく、かつ美人だ。何故あんな父親と結婚しているのか分からないくらい。
「もう飽きて、まりで遊んでるって。おはよう母さん」
「おはようエメちゃん。ご飯出来ているわよ」
「おばさん! そんなことよりエメを病院に連れていかないと!! やっぱり1週間家に閉じこもっているからこんなことに……」
さっきのをまだ引っ張ってくるルビー。
「こんなって……これ? 」
私はさっきの決めポーズをしてみせた。ルビーはそれに反応し、母に見るようにいう。母はころと戯れていた。
「いつものダル気なエメがセンリさんを超えるポケモントレーナーになるっていうんですよ!? しかもキラッとかハートやらホシやら言っちゃって……」
ルビーの言葉にふと母の手が止まった。遊んでもらっていたころはきょとんとした顔で、母を見ていた。その母の口から出た言葉が、私を震撼させた。
「そうそう。エメ。嬉しいお知らせよ! お父さんね、エメの誕生日に帰ってくるって!! これで家族全員、やっと揃うのね」
「……………嘘おおおおお!?!?」