第9章 捨てられ船
「中はそうでもないみたいだね。よかった。ほら、エメ行くよ」
「…………はぁ」
半ば強制的に船から引きずり下ろされた私は、深くため息をつきながら歩き始めた。結局、ハギ老人の警護をするって言ったけど却下されるし…。さらに、当然のようにサファイアはいなかった。
「………ん?」
私はふと踏み出した足を上げた。この船はどうやら捨てられ船というらしい。あまり人が寄り付かない場所のようで、あちこち埃だらけ。そんな中、床には大人サイズの足跡が三つほどあった。………ますます嫌な予感。
「エメ? 早く行くよ」
ルビーはアホ面で私を急かす。
「………はいはい。…はぁ」
杞憂であったらいいんだけど。