第9章 捨てられ船
しばらくズズと戯れていると霧が出てきた。
「………危ないな。ころ、えなこっちおいで」
私の声かけに2匹は起き上がりこちらに来る。落ち着かなさそうにしていたので撫でてやると、擦り寄ってきたのでズズとともに膝に載せた。
「エメー、どこ??」
霧はどんどん濃くなりほんの数メートル先も見えない状態となった。二人の居場所は何となくわかるけど………ポケモンとかに船が当たらないかが心配だな。と、不意に船が止まった。
「………ぴーちゃん!? ぴーちゃぁぁぁぁんんんん」
「ちょっ!? ハギ老人!!どこへ行かれるのです!?」
ハギ老人とルビーの声だった。声にいち早く反応したえなが私の膝から降り、途端に姿が見えなくなる。
「えな!?」
私は二匹を下ろし、えなが向かった方向へと慎重に向かった。
「…………船??」
ぼんやりとした影が目に映り、それが大きなボロい船だと分かるのに少々時間がかかった。
「………変なの」
「エメ!! ぼんやりしてないでハギ老人止めて!!」
どうやら船酔いをする暇がないくらい切羽詰っているようだ。そこには今にも海に飛び込もうとする萩老人の姿があった。
「ぴーちゃぁぁぁぁんんんん」
どうやら状況から察するにぴーちゃぁぁぁぁんんんんがあの船に入ってしまったらしい。私は嫌な予感がした。そして、サファイアの姿はそこにはなかった。
「あなたがいなくなったら誰が船を操縦するんですか!! 僕らがいってきますから!!」
あぁ、やっぱり。私はため息を一つはいた。