第2章 私はエメラルド。略してエメ
「初めまして、こんにちは☆
私の名前はエメラルド、みんなはエメって呼んでる。好きなことはポケモンバトル。嫌いなことは負けること。
大好きで尊敬している、父センリを超えるポケモントレーナーに私はなるキラッ☆。皆応援よろしくね♡」
「………………何してるの? エメ」
階段から現れたのは1人の少年。私は決め顔のまま彼の方を指さした。
「あら? そういうあなたは私の幼馴染であり、最高のライバルのルビーくんではないですか!! 早速挑みに来たのですね!! いざ尋常にしょーぶですわー☆」
「………お…おばさぁぁんん!!!! とうとうエメ、おかしくなったよおお!!!!」
慌てて階段を降りる少年を横目に、私はゆっくりとベッドに倒れ込んだ。
「やれやれ。これでやっと眠れる。邪魔者は消えた」
こっちが本当のキャラ。最強のポケモントレーナーになりたくも無ければ、バトルも好きではない。出来ればこの人生をベッドで過ごしたいし、外にも出たくない。父親なんぞ存在すら消してしまいたい。どうも初めまして。ニートマスターに私はなるキラッのエメです。
「なーに? エメちゃんならいつものようにポケモンちゃんたちと戯れているはずよ?」
母の声が下から聞こえてきた。ちっ、あいつまだ帰ってなかったのか。私は床に転がっているモンスターボールに手を伸ばした。
『 エネエネ~!!』
出てきたのは小さい頃からずっと一緒いるエネコ。ニックネームはころ。ころは私を見て、いつものようにベッドに入って私の腕を枕に寝そべった。可愛いヤツめ。
「ころ。おもちゃが来たぞ。いつものふにゃ男だ。遊んでもらえ」
そう言うとキラリと目が光るころ。タイミングよくおもちゃが現れ、次に悲鳴が上がった。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!! エメ! エメ! ころをひかせて! エメェェェェェ!!」